――――――

6/6
前へ
/6ページ
次へ
 それはいつも縁側だった おじいちゃんが大好きだった あづの頭を撫でるおじいちゃんの右手が大好きだった おじいちゃんの薬指は第二関節からなかった 幼かったあづは怪我で失くなった事はわからなかった それでもおじいちゃんの右手が大好きだった 今はグッピーも鈴虫もいない そしておじいちゃんも… ただおじいちゃんと過ごした縁側だけが想い出と共にある 『おじいちゃん あづがする』 『そうか あづがするか』 おじいちゃんはただ微笑みながら 黙ってあづの頭を優しく 優しく撫でた…
/6ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2人が本棚に入れています
本棚に追加