第二章

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「…ぅ……ぅん?」 赤髪の女が目を覚ますと、そこは大きなベッドの上だった。 腹の辺りに黒髪の男が倒れ、少し離れたところに『あの本』があった。 「ちょっと!!おきなさいよ。」 女は男の顔をぺしぺしと叩いて起こした。 「…んー?」 男は寝ぼけた声を出して顔を上げ、キョロキョロと辺りを見渡し、女を確認した。 「……ここ、どこ?」 赤髪の女がそう聞くのも当たり前だ。 2人はさっきまで図書館にいた。 だが、この部屋には、2人がいるベッドに、高級そうな絨毯、テーブルの上には薔薇の花束まで飾られている。 2人が上半身をおこし、状況を理解しようとしたときだった。 「じゃあ、ピクル。しっかりやるんだよ。 終わった頃に確認にくるからね」 木の扉の向こうから中年女の声が聞こえる。 「はいっ!頑張ります!!」 ずいぶん緊張したような堅い若い女の声も聞こえた。 ガチャ…… ギィー――… 重い音を立てて扉が開いた。
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