第一章

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〔私が愚かだったのです〕 王の言葉、王の行動。 何一つ疑わず、盲目的に従った。 その結果、イーギスは故郷を失った。 王命には従えない。 それは、騎士になって初めての抵抗。 王命に従えない以上、騎士として生きて行く事はできない。 だからこそ、イーギスは騎士の証を捨て、国を捨てて旅人になったのだ。 だからこそ、カザフィルには戻れない。 サイラフに行けば、海を越えた先にあるケルフィア国がある。 追っ手もそこまでは来ないはずだ。 そう考えて、イーギスはサイラフに向かう決意をしたのだ。 出来ることなら、出発を明朝にしたかったのだが、そう呑気にしていられる状況でもない。 必要最低限の水と食料を買うと、イーギスは夕闇が迫るなか街を出た。
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