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街の灯が遥か後方に見える。
それ以外は荒野が広がるばかり。
僅かに繁った木の下で、イーギスは夜を明かす事にした。
火を炊く事は出来ない。
追われる身である以上、いつ誰が襲ってくるかも分からない。
そんな状況下で火を炊けば、何もない荒野だ。
すぐに居場所がバレてしまう事は必至。
騎士としての訓練を積んだおかげで、イーギスは夜目も利く。
幸いにも今夜は、月もあり星も見える。
更に、獣の気配にも敏感だ。
明日以降は、昼間に寝て夜になってから移動すればいい。
だが体力は温存しておかなければならない。
春が近いというのに、流石に夜は冷える。
薄い毛布を二枚重ねて、身体に巻き付けたとしても、寒さをしのげるものではない。
〔危険を犯してでも、今夜は宿に泊まればよかったかもしれませんね〕
そう思ってみたところで、もう真夜中に近い。
街にある門は、すでに閉じられてしまっている。
それに、裏路地に横たわる死体が発見されていたとなると、街はかなりの騒ぎになっているはずだ。
そんな場所に戻るのも、得策だとはいえない。
木の幹に身体を預けて、イーギスは静かに息を吐き出した。
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