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「あたし鬼でいいよ、十数える間に隠れて」
少女…麟の口から出るのはあの京弁ではない。
少女は袖で顔を隠すと、高らかに数を数え始めた。
「いーち…にーい…」
男達はまるで足が自分のものではなくなったように動かないのを感じた。
恐るべきものではないはずなのだ。ただの小娘だ。小娘のはずなのに。
酔って働かない頭が、
だんだんと醒めてくる。
否、醒まされてくる。
それでも少女の数える数は刻々と増えていく。
「…じゅーう」
そこで一旦言葉が切られた。
「もういいかい」
指の隙間から、少女の目がのぞく。
笑っていた。
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