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「う、うわあああ」 一人の男がニ、三歩後ずさってから一目散に駆け出した。 もう一人もまた置いていかれては適わないと少女に背を向けて走り出そうとする。 が。 「鬼ごっこじゃなくて隠れん坊だよ、反則」 「…ッ」 声を出すことも叶わずに男は倒れ伏した。 ずるっと引き抜かれたのは、いつの間にか後ろに居た少女が持つ刀。 「お…前…は……」 絞り出された声に気づき、少女は笑った。 「私?私は鴉。島原を飛ぶ鴉だよ」 あれ、と少女は首を傾げる。 「もう死んじゃったんだ」 少女はつまらなそうに口を尖らせると、もう一人の男の消えたほうへと踵を返した。 「じゃあね、お侍さん」 亡骸にそっと呟いて、 少女は刀を手に夜闇に消えた。
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