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「また島原で辻斬りが?」
所変わって、麗らかな日の当たる、ここは新撰組屯所の縁側。
女と見紛うほど整った顔立ちをした青年が疑問の声を発した。
彼は壬生浪士組の一番隊組長、
沖田総司。
「ああ。また裏路地で背中から一突きだ」
答えたのは局長近藤勇だった。
「もう先月と合わせて十五件にものぼる…」
近藤はふーっと溜め息をつき、
縁側に座る沖田の横に腰をおろした。
「島原ばっかりですね…しかも全部背中から一突き」
対する沖田もまた溜め息をついた。
同一犯と思われるこれらの事件の下手人はまだ見つかってはいなかった。
それどころか、目撃情報さえない。
それほど重要視していなかったのだが、この数はさすがに尋常ではない。
「監察を動かす」
近藤は拳を握り、言った。
沖田は何も言わず頷いた。
暖かい晩春の風が吹き込む。
「なら…すぐ見つかりますね」
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