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ひとしきり笑うと、
禿はほおっと吐息をこぼした。
「なんだか心がぬくまります」
雪が言うと、永倉藤堂がすごい勢いで口をはさみだした。
「そんなこといってられるのも今のうちだよ」
「そのうち暑苦しくなるぞ」
「左之がいるせいでな」
「知ってるか夏にコイツの隣で寝てた奴熱射病で医者に担ぎ込まれたんだぜ?」
「気をつけろよ雪ちゃん。ほんとに。色んな意味で」
「お、お前ら…」
原田が一人ぷるぷると肩を震わせるのをみてまたひとしきり笑いが起きた。
「あ、そういえば新撰組言う名前頂いたんやて?おめでとさん」
「おう、そうなんだよ!総司の野郎なんか大喜びでよお」
原田は恐ろしく復活が速い。
「総司?」
「ああ悪ィ。一番隊の組長だ。沖田総司っつってな、屯所で一、ニを争う腕の持ち主さ」
へえ、と麟と禿の口から尊敬の溜め息が漏れた。
「そういえば新八っつぁんと総司ってどっちが強いの?」
藤堂がくりくりした目で疑問を口にした。
「六百六十八勝六百六十九敗だな、今のところ」
さらりと言ってのけた永倉に、
藤堂が餅を喉に詰まらせた。
「そんなに試合ってたか…?お前ら…」
原田は咳き込む藤堂の背中をばしばし叩いてやりながら眉をひそめるのだが、いかんせん力の加減が出来ていないので叩かれるたび藤堂が目を白黒させている。
そんなことには我関せず。永倉はぐぐっと汁粉を飲み干した。
「ぷはっ、やっぱ汁粉だな!」
「いや、聞けよ」
と、そこへ鼻歌を歌いながら近づいてくる人間が一人。
「おや、皆さんお揃いで!」
「噂をすればなんとやらだな」
「総司、巡察は?」
沖田は、んー、と首を捻ると屈託の無い笑顔を浮かべた。
「三番隊と合同だったので、ぜーんぶ斉藤さんにお願いしてきちゃいました」
えへへ、と笑う沖田に三人組の眉がひくついた。
斉藤…可哀想に。
三人の心は今一つとなった。
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