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第1章 逃げちゃえ~
ある平凡な1日の夕刻、街では野菜や果物、肉類などが売られていた。
賑やかとはいかないまでも夕食の買い出しにきた人たちが安い食材を探し歩いていた。
そんな店が立ち並ぶ一角から少し離れたところで
「…オギャア、オギャア」
と大きな泣き声が聞こえている。
ピンクの上等そうなタオルケットに包まれてカゴに入れられている赤ん坊がいた。
あまりに大きな泣き声なので街の者達に聞こえないはずはない。
だが皆聞こえないふりをしているようだ。
助けてあげたいが皆家族が1人増えると困るのだ。
この国の民は貧困というほどでもないが、それでもギリギリのところを生きているものばかりだから…
だから赤ん坊が泣いている横を歩く人達も一様に苦しそうな申し訳なさそうな顔をしながら通り過ぎていく。
そんな時間が二時間くらい続いて暗くなり始めた頃
また1人この赤ん坊の横を身なりのいい中年の男が馬に乗って通りすぎようとしていた。
…が、ふと彼は馬からおり赤ん坊を見た。
「これは使えるかもしれない…」
この男はニヤリと怪しく笑い赤ん坊をつれて去っていった。
お城があるほうへと…
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