空白

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俺は、親父さんに視線を飛ばす。 「済まんな、あの事件は、この店でも話題でなぁ…。 挙げ句、毎晩カウンターで、ノーラが荒れるもんだから、此処の常連達は、大体の経緯は知っているのさ。」 親父さんが、頭を掻きながら、バツが悪そうに笑った。 なるほど。 俺は、マールボロを取り出して、ジッポーで火を着ける。 ゆっくりと、煙を吸い込みながら、自分が、どれくらい酔っているかを確認する。 「…あぁ、あの晩、俺はノーラと、あの学園に居たよ。 全く、とんでもない夜だったぜ? おかげで、俺は、半月も意識が無かったんだからな。」 アベルに向かって、当たり障りの無い、如何にも〈酒場のヨタ話〉を装って笑いかける。 「へえ!ソイツは凄いな!」 アベルは、大袈裟に感心して見せる。
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