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俺は、アベルの顔を凝視していた。
…なんだって?
「…そうだ、コバヤシ達の部隊がな、作戦に失敗して、奪還した都市を失った。
まだ、入植前だったから、被害自体は大した事は無かったらしいが、地下リニアの坑道を使った侵攻で、幾つかの都市に、インスマウスが大量に出現したらしい。」
アベルの言葉を引き継ぐようにして、親父さんが言った。
全身の体毛が、一本づつ立ち上がるような戦慄。
親父さんも、眉間に皺を寄せて、困惑を隠せない。
なんてこった。
思わず、走り出したいような気持ちになるが、現在の俺に、何が出来るって云うんだ?
自問自答しながら、俺は、カウンターに置いた、両の拳を握り締めた。
一体、世界で何が起きているんだ。
噛み締めた奥歯が、ギリッ。と、嫌な音を立てて軋んだ。
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