空白

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アベルは、顔面を紅潮させながら熱弁をふるった。 「ところで、コバヤシ達の艦が、シティ・ナゴヤに入港するのは何時だったかな?」 親父さんが、俺に微笑みかけながら、それぞれのストレートグラスに、酒を満たした。 シティ・ナゴヤ? 俺は、ストレートグラスへ手を伸ばしながら、親父さんの顔を見上げた。 ルナ達が、寄港すんのかよ? 先刻、懐かしく思い出したばかりの皆の顔が、次々と、胸の内に浮かんでは消える。 「どうやら、補給の為らしいがな。 アベル氏も、知り合いが乗艦しとるらしい。」 親父さんの言葉にも、俺は上の空だ。 「えぇ、整備班の幾人かは、開発部門出身ですし、あの艦の司令官とも、少なからず因縁があるんですよ。」 アベルの笑いが、俺の胸を締め付けた。
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