9080人が本棚に入れています
本棚に追加
アベルは、顔面を紅潮させながら熱弁をふるった。
「ところで、コバヤシ達の艦が、シティ・ナゴヤに入港するのは何時だったかな?」
親父さんが、俺に微笑みかけながら、それぞれのストレートグラスに、酒を満たした。
シティ・ナゴヤ?
俺は、ストレートグラスへ手を伸ばしながら、親父さんの顔を見上げた。
ルナ達が、寄港すんのかよ?
先刻、懐かしく思い出したばかりの皆の顔が、次々と、胸の内に浮かんでは消える。
「どうやら、補給の為らしいがな。
アベル氏も、知り合いが乗艦しとるらしい。」
親父さんの言葉にも、俺は上の空だ。
「えぇ、整備班の幾人かは、開発部門出身ですし、あの艦の司令官とも、少なからず因縁があるんですよ。」
アベルの笑いが、俺の胸を締め付けた。
最初のコメントを投稿しよう!