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『数の利』があるから、奴らは、自分達の発する殺気や気配に対して鈍感になっている。
靴底が、床の砂を噛んで立てる軋み。
お揃いの黒服の下に隠した、特殊装備の立てる金属音。
ブゥ…ンと云う、微小ながらも独特な、アイメタルの作動音。
軍にいた頃だったら、絶対に感知出来なかった筈だが、伊達に、毎日毎日、ノーラに熨されていた訳じゃない。
暗闇に包まれていても、ある程度までは気配が察知出来る。
先刻、床にぶちまけた火薬(パウダー)が、有効なトラップになれば良いんだが。
一か八かで強硬策を採る。
時間をかければ、かけただけ不利になりそうだ。
俺は、ベンチの間を姿勢を低めて走る。
敵に動揺が走ったのが分かった。
一拍遅れで、弾の嵐が俺を襲うが、生憎、〈うろたえ弾〉が当たる程、俺はのろまじゃ無いぜ?
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