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―――気分が悪い。
前方に視界を向けるが数十メートル先は視界に入らず、
見えるのはただ閉ざされた地平線のみ。
―――ザァアアアァアァァアアァァァ―――
―――ソラをみる。
――ソラは黒い。
―この世の終焉とはこれをいうのだろうか。
並んで歩く一人の男が問う。
「我、汝に問う、この世の終わりとは何か。
―――其は世界の破滅か。否、其は内ナルモノの終焉であろう。」
男はそう告げると、まるで何かを告げ終えた…という表情で大地に朽ちていった。
「内なるものの終焉か。」
そう呟くと其れに気を留ることなく正面を向き続ける。
いや、正確には気に留めたのだろうが、気に留めたくはなかったのだ。
彼はさらに歩く。
どのくらい歩いただろうか。
―――足にはいつの間にか鉛がついていた
どのくらい手を振っただろうか。
―――手には手枷がはめられていた
手足が暖かい。
まだ俺は生きている。
暖かいのはなぜ?
それは体が知っている。
ならば俺は知らずとも良いだろう。
しかし―――
五体が悲鳴を上げる。
―――キ゛キ゛キ゛キ゛イイィィ…ミシッ…――
「あぁ・・・もう終わりにしよう。」
そういうと体を地面に投げ出し目を閉じる。
だんだんと意識が遠のく最中
ふと彼は疑問に思ふ・・・。
はて・・・世界の終わりとはこんなにも紅く禍々しい景色だろうか――――
死の間際にこのようなことを考える者などいまい。
だがしかし、このような景色・・・望んだことは一度たりともない。
―――――――――――もうこのさき赤しか見えることはないだろう
―――――――しかしみてみたい
――――煌々たる光を放つ地平線
世界の終端とやらを―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
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