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『ユキ』
そう誰かに呼ばれるのに、やっと慣れてきた……
「おはよ……、健一」
だけど、お前のその心配そうな瞳だけは未だに慣れない。
幾度「大丈夫だ」と説明したところで、お前は満足しないだろう……。
何がそんなに心配なんだろう……。
……やはり、本体―悠希の事だろうか……。
それとも俺が、悠希が作り出した人格だからだろうか……。
肩までの黒髪をサラリと揺らして、お前は俺の頭を撫でる。
一見、女顔……。
まぁ……人のことは言えないが……。
本人に言うつもはさらさらないが、俺はコイツが好きだ。
綺麗な顔立ちとか、しゃべり方。艶やかに光髪の毛。声の質。
それと、多分、性格……。
きっと簡単にまとめてしまえば、【全て】と言う言葉で片づいてしまうのだがあえてその言葉は使わない。
何故だか、酷く陳腐な気がして……
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