QUEST5:拳銃使いイオ=ヴァルクエ

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シルバは全く視界がきかない、前後不覚の暗闇の中に立っていた。 前方にぼんやりと白い人影が見える。   ───…ちゃん…兄ちゃん… 『…誰だ?僕を呼んでいるのは…』 …お兄ちゃん… 『ボクを…ボクを呼んでいる…お前は…』   人影は濃さを増し、一人の少年の姿を形作る。 綺麗な青い髪を持つその少年の瞳の奥には、憎悪と悲しみが渦巻いている。   『お前は…デイン…!?』   シルバは目の前の少年の名を…自らの弟の名を呼んだ。 少年は薄く笑う。   "お兄ちゃん…どうして…" 『えっ?』 "どうして見捨てたの…?"   少年の頭から鮮血が滴る。 顔面蒼白になっていく。 "どうして…どうして…"   その姿はまさしく…死人のそれだ。   『ひっ…う…ぅああぁああああぁあああ!!!』       シルバはがばっと飛び起きた。   「シルバ!」 「シルバさん!大丈夫ですか~!」   そこにはあかあかと燃える焚き火、泣きそうな顔のガンとユリア、そして見知らぬ赤毛の少年がいた。   「あ…」 「心配したんだからな!もう!」   今にも泣きそうな顔でガンがシルバの手を握る。 「良かったです~」   相変わらずのおっとり口調ながら、ユリアは安心した様子で抱き付いてきた。 シルバの顔が見る見る赤くなる。 その時、ユリアの肩越しにあの赤毛の少年の姿が目に入った。 彼はガン達の様子を微笑みながら見ていた。   何処かの軍の制服のような、やたらボタンの多い服を着込んでいる。 腰には刃渡り30cmほどのショートソードと、白と黒の拳銃をそれぞれ一丁ずつ吊っていた。 短く刈り取られた赤毛に、髪と同じ緋色の目をしている。 中肉中背、といったところか。 童顔で筋肉もあまり無いため、年下に見えた。   シルバが青年を観察しているのに気付いたのか、ガンが説明した。   「シルバ、この人はオレ達を助けてくれたんだよ」 「怪我の手当てもしてくださいましたし、とても親切な方です~」   ユリアが補足する。 見れば三人の体のあちこちに包帯が巻いてあった。 その時赤毛青年がシルバに近寄って隣りに座った。   「シルバ君、だよね?」 「あ…ああ」 「大丈夫かい?随分うなされていたみたいだけど」 「ああ…」   上の空でシルバが答えた。  
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