QUEST1:透明な村クリアタウン

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「そして、自らの力をも六つの宝石に込め、世界に散らし、息絶えた…かぁ。あっ、引いてる引いてる!」   言って金髪の青年は本を閉じ、近くにあった釣竿を思い切り引いた。 パシャッという軽快な音と共に、食い逃げ後の釣針が宙を舞う。 当の食い逃げ犯は優雅に水の中を舞っていた。   「…ちくしょー」   悔しそうに呟いた後、青年は釣り道具を片付け、川辺から立ち上がった。 村の中を散歩がてら家へと向かう。 雲一つ無い、真っ青な空。 澄み切った美しい水の流れる川。 まさにクリアタウンと呼ばれるに相応しい美しい村である。 かなり大きめの豪華な家の前を通り過ぎた時だった。   「ガ~ン!」 「ん?」   ガンと呼ばれた金髪の青年が振り返ると、その豪邸の5階の窓から、青い髪の細身の青年がこちらを見下ろしていた。   「おい、今行くから待っていろ!」   青い髪の青年は叫ぶと、一旦引っ込み、しばらくして外に出て来た。   「久しぶり、シルバ」   ガンが嬉しそうな顔をする。   「ああ、一週間ぶりだ」   シルバと呼ばれた青い髪の青年は、溜め息をついた。   「最近塾と家庭教師以外にも予定がたくさん入っていたからな」 「シルバは忙しいもんね」   シルバはふん、と鼻で笑う。 「ボクの様な上流階級の人間ともなれば当たり前だ」   いつものように強がって威張ってはいるものの、少し疲れている顔をしている。 伊達に幼馴染みをやってきたわけではないので、ガンはシルバが疲れていることをちゃんと見抜き、にっこりと笑った。   「じゃあさ、久しぶりに三人で遊ぼうよ!!」 「は?」 「……駄目かな?」 「別にボクはかまわないが…」 「決まり!ユリアも誘いに行こう!!」   ガンは叫ぶと、もう一人の幼馴染みの少女ユリアを誘いに、彼女の家に向かって突っ走る。 その後ろをシルバが二度目の溜め息をつき、よたよたとついていった―――――。
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