QUEST2:さらわれたユリア

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壊れたイスや机。 花瓶が床に落ちて割れ、花や水が飛び散っている。 さらに、イスや机の破片や割れたガラスが床に散乱していた。 そして、そのリビングの窓際にユリアはいた。     ―――二十歳前後ほどの青年に両手を拘束され、口を塞がれた姿で。 その青年は背が高く、精悍な顔立ちをしていた。肩にかかる長い髪は濃いブルーで、耳が尖っている。   「ユリア!!」   ガンが叫んで駆けだそうとするが、シルバに後ろから押さえられた。   「シルバ!!放せ!!」 「馬鹿!向こうの手の中にはユリアがいるんだぞ!!」   シルバはしっかりとガンを押さえ、ガンは唇を噛み締める。   「その耳…お前、エルフか?」 「さぁな」   青年はシルバの問いを適当に受け流す。   「悪いけど、お前等に用はねぇんだ。用があんのは姫さんだけ」   言って彼は窓枠に足をかけた。   「じゃあな」 「あっ!待てぇ!!」   ガンが駆け寄るが、青年は外に飛び出した。 その時、青年のマントが変形し、翼の形になり、彼の体は宙に浮いた。   「あばよ」   彼は軽く微笑むと空の彼方に飛び去った。 その腕にユリアをしっかりと抱えて。   「信じられない…」   シルバが呆然と呟いた。
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