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「ねぇ、先輩。プリンと僕、どっちが好き?」
唐突な問いかけにプリンを口にいれようと大口を開けたままの先輩がこっちを見て
「あ?いきなり何言ってんだ、お前は」
バカじゃねぇの。と言いながらプリンを食べる先輩の横に腰をおろした
「おま、来るんじやねぇよ」
プリンをとられると思ったのか必死でプリンを遠ざける先輩に眉を潜めながら眼鏡のブリッジを中指で押し上げ
「仮にも恋人に酷くない?…まぁ、どっちが好きか答えてよ」
「そんなん聞かなくたって決まってるだろ…」
照れたように頬をかく先輩に、所詮相手はプリン。
食べ物なんだから僕。って答えてくれるだろうと笑めば先輩を見つめて
「プリンだよ」
固まった。
「…はぁ?」
思わず呆れたように言葉を出せば先輩は手元のプリンを愛おしそうに見つめていて
「だってよ、この素晴らしい美味しさ…亀公なんかと比べ物にならねぇよ」
なんか…
なんかってね…
「ふーん…そう…僕よりプリンねぇ…」
半眼になりつつ呟くと先輩が頷くのが目に入って
「それに…」
先輩の肩に手を置くと何か言葉を続けようとしてた先輩の唇に僕の唇を寄せて動きを止めて
「…それ以上何か言ったらキスするよ?」
唇が重なりあいそうなほど近くで囁けばそれでも言葉を発しようとする先輩が目に入って
プリンに対する言葉は聞きたくないから更に唇を寄せた
唇が重なる5秒前
聞こえたのは…
『…お前の事は好きじゃなくて、愛してるんだよ』
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