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店頭に飾られた沢山の熊のぬいぐるみ
その中の一つ、金色に近い毛並みをした熊のぬいぐるみ
それを見ているとまるで彼を見ていると錯覚しそうで
「なんや、亀の字。ぬいぐるみが欲しいんか?」
かけられた声に意識が戻った
そういえば僕は今彼とデート中なんだっけ
「なんでもないよ、キンちゃん。ただ見てただけ」
隣に立って熊のぬいぐるみを覗き込んでるキンちゃん
何か考え事してるようなその姿に手を伸ばして腕を掴もうと
「よし、買ったるわ」
「えぇっ!?」
してた手は逆に彼の手に捕らわれて引っ張られる
引っ張られる先はお店で
「ちょ、キンちゃんっ。別にいいよ、リュウタじゃあるまいしっ」
ただ見てただけで、欲しい訳じゃない
何よりも恥ずかしすぎる、男二人でこんなファンシーな店に入るなんて
「ええから黙っとき」
それでも引っ張られてしまえば流石に力の差で店に入る事になってしまい
ああ、店員さんの目が痛い…
「ちょっと、キンちゃん?」
彼を止めようと言葉をかけても、そんな僕の言葉は無視され
店頭に並べられてた熊のぬいぐるみはちゃくちゃくとラッピングされていった
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