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あの日からますます彼のことが、頭から離れない。
ときどき学内で彼の姿を見かける。
注意してみると彼はよく学校に来ていることが分かった。
―サボってあまり来てないと思ってた。
友達に囲まれている彼は、
笑って――――――――いる。
あの日僕が見ることができなかった表情をしている。
けれど、ほんの一瞬あの哀しい瞳を見せるときがある。
「おい!」
後ろから声を掛けられた。
「あぁ先輩。何かありました?」
同好会の先輩がいた。
「あぁお前今、バイトってしてるか?」
「えっ、1つだけしてますけど…。」
「悪いんだけどさぁ、もう1つ増やせるか?今、ウチんトコ人手なくて困ってんだ。やってもらえねぇか?」
「先輩んトコのバイト先ってドコでしたっけ?」
「あー……コンビニなんだけどさ、そのナンだ、場所が悪いのかな?みんな、すぐやめちまうんだよ。」
珍しいな、先輩の歯切れが悪い。
「お店の場所ってドコです?」
「駅前の繁華街―――の奥。」
「繁華街の奥って確か………」
「あぁ」
――――――――――ホテル街
「できるか?」
「大丈夫ですよ。」
「悪いな。そしたら今夜、一度店来てくんねぇ?店長に会わせるから。」
「はい!」
「ありがとな。こんどA定食おごるよ。」
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