◆Side:彼

2/2
前へ
/80ページ
次へ
何なんだアイツは!! 人の中に土足で入りやがって!!! 何も、関係ないだろう…。 分かってるんだ。 いつまでも、こんな事続けていたって意味のないことは…。 でも、しょうがないんだ。 俺は、一人じゃ眠れないんだ…。 いつの間にか、目の前の灰皿はタバコでいっぱいになっていた。 「おい、スゴイ山だな…ソレ。」 いつもツルんでいる仲間の一人が、声をかけてきた。 「あぁ、まぁな…」 「なんかあったんか?」 「少しな…。」 「さっき、話してたヤツ?」 「見てたのか?」 「チラッと…な。」 「そぅ…まぁそんなトコロ。」 心地良い。当たり障りのない会話。 それでいい親友なんか要らない。 そんなの面倒臭いだけだ…。 だけど俺は、探している。全てを賭けて愛する人を…。 アイツはいきなり侵入してきた。 そして、俺の胸の中をえぐった。 ―なんで、気付いたんだろう? 「おい、どしたん?」 「イヤ、昼メシ、どうしようかと考えた。」 「あっそ?学食行くか?」 「外、食いに行こ」 『嘘つき』 アイツの言葉がよみがえる。 アイツは気づいている。 俺が、もう見つけていることを。 その、相手さえも…。 ―高橋教授(センセイ)
/80ページ

最初のコメントを投稿しよう!

262人が本棚に入れています
本棚に追加