◆Side:高橋

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キャンパスのはずれにある、一室。 細く煙がたなびいている。事務イスにゆったりと腰掛けて、パソコンに向かい眉間にシワを寄せる。が、自然と笑みがこぼれてしまう。 ―困りましたね…、あんな瞳で見つめるものではないですよ…。 私は、あなたの気持ちには…。 さて、どうしましょうか? あの瞳に見つめられるのは、少し…いや、随分と気持ちの良いものですね。 初めて、彼の視線に気付いた時、私は教師であることを忘れてしまいました。 あれから週1回の授業が、年甲斐もなく楽しみになってしまいましたよ。 いつからでしょうねぇ…。私が人を愛することを忘れてしまったのは? 「フフ…、あなたが思い出させてくれますか?」
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