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「ちょっと、来て」
僕は、彼を呼んだ。
「イヤだ。」
僕を見ずに、拒絶の言葉。
そんなことは、初めから分かっていた。
「一緒に来て。」
「……………。」
―無視…か。負けるか!
僕は強引に、彼の腕を掴み、誰もいない教室に入った。
「こないだ、ホテル街で見かけた。」
「………………。」
「男と一緒に、ホテルに入っていった。」
少しだけ、身体が動いた。
「まだ、あんな事してるの?」
「もぉ、やめなよ。あんなこと。辛くなるだけじゃないか。」
「…………………ない。お前には関係ない!」
「高橋教授のこと好きなんだろ。もう、自分に嘘つくのやめろよ。」
「嘘なんかッッ!!……………ついて…ない。」
声がふるえてる。彼は背を向けていて、顔を見ることができない。
「見てて、辛いんだ。僕は君が…………………好きだから。」
「簡単に言うなっ。」
「簡単になんか言ってない!!」
「好きなんだよ…。どうしようもないくらい…。」
―言ってしまった。
彼は、困惑している。
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