◆コイビト

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「ちょっと、来て」 僕は、彼を呼んだ。 「イヤだ。」 僕を見ずに、拒絶の言葉。 そんなことは、初めから分かっていた。 「一緒に来て。」 「……………。」 ―無視…か。負けるか! 僕は強引に、彼の腕を掴み、誰もいない教室に入った。 「こないだ、ホテル街で見かけた。」 「………………。」 「男と一緒に、ホテルに入っていった。」 少しだけ、身体が動いた。 「まだ、あんな事してるの?」 「もぉ、やめなよ。あんなこと。辛くなるだけじゃないか。」 「…………………ない。お前には関係ない!」 「高橋教授のこと好きなんだろ。もう、自分に嘘つくのやめろよ。」 「嘘なんかッッ!!……………ついて…ない。」 声がふるえてる。彼は背を向けていて、顔を見ることができない。 「見てて、辛いんだ。僕は君が…………………好きだから。」 「簡単に言うなっ。」 「簡単になんか言ってない!!」 「好きなんだよ…。どうしようもないくらい…。」 ―言ってしまった。 彼は、困惑している。
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