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甘い香りを漂わせ、タバコの匂いをさせて、ささやいた。
「……………えっ。」
彼の言葉を理解するまでに、僅かな時間を要した。
彼は薄い微笑みを浮かべ、僕に近寄ってくる。
「お前が、幸せにしてくれる?」
今度は、耳元で誘うようにささやく。
僕は壁を背に、動けない。
彼は
僕を
言葉一つで拘束し…………た。
「何……を…………言って………………。」
「俺を、気持ち良く、して」
彼は右手で、太腿をさする。
カッと、僕の顔が熱くなる。
―からかわれた!!
「やめ……!!からかうなよ。」
「からかってなんか、ないよ。初めはそのつもりだったけど…。」
「誰でも…いいよ…幸せにしてくれるなら…。」
“自暴自棄”そんな感じに見えた。
繊細で脆い、ガラス細工の様な茶色い瞳には、何も映ってない。
光を反射するように、全てをはねのける。自らに取り込むように見せかけて…。
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