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においがする。
彼からはタバコとあまい香水のにおいがする。可愛い容姿とは不釣り合いな香りがうっすらと漂っている。
ー男もの、…じゃないよな。
いつも決まって後ろから2番目の右端の席に座る彼。
他の授業はさぼっても水曜日の1限には、いや違うな…。
彼の…高橋教授の授業には必ず出席している。
僕はいつもそんな彼の後ろの席に座って、彼の香りを人知れず感じている。
昨日と違う香りがする。
「嘘つき」
小さな声で囁く。
本当は高橋教授が好きなくせにいつも違う女の香りをさせて彼を見つめて無言のメッセージを送っている。
僕も同じだ。前を見ている君に“好き”と言えずに、見つめるだけ…。
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