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「いや、お前ら二人が固まるのが悪い」
二人がムッとした表情になる。
「…あなた本当に、あの名門トーラー家の人なの?」
エアリスが恐る恐る聞くと、グレンは笑いながら答えた。
「そうだよ。でも、トーラーの正式な名を継ぐのは兄なんだけどな。俺は正式なものじゃないんだ。だから、俺は君達と同じ何の変わりもない一般人だよ」
トーラー家は代々、エルソード王国第一騎士団へと必ず入団している数少ない家系の一つ。財政力、手掛ける事業の信頼度はトップ3に入るほどである。そして、魔法研究を進める数少ない家系でもある。
「まぁ、本当は俺が魔法研究を進めなくちゃならないんだが、俺は騎士団に入るのが夢だったからその任を拒否したんだ。案の定、親父には殴られちまったけどな」
苦笑いで前髪をあげると、額にある痣を二人に見せた。
「今、俺がここにいるのは兄貴のおかげなんだ」
話をしていると突然、部屋のドアが開きエルソード部隊服を着た男が、
「そぉ!それはまさしく俺のこと!!この俺、ヒース・トーラーのことだ!!」
と、大声で叫びながら部屋にズカズカと入ってくるなり、ニコニコしながら三人の元へ歩み寄ってきた。
「…兄貴、何でここにいるんだ?しかも、出て来るタイミングが完璧過ぎるぞ…」
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