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「ふっふっふ、聞いて驚け。ずっとあそこので入口から見張ってた。何度か騎士団の連中に連れ戻されそうになったがな」
指差す方向には、無惨な姿になった騎士団の者達が山積みにされていた。
ヒースは空いている席から椅子を引っ張り出しそれに腰掛けると、ローブの内ポケットから一通の手紙を取り出しグレンに渡した。
「父さんからだ、後でいいから読んでおけ」
「ヒース隊長!!ヒース隊長どこにいらっしゃるのですかー!!」
ヒースの部下らしき者が、建物全体に響いているのではないかと思うぐらいの声でヒースを呼んでいる。
「むっ、うるさい部下がまだ追ってくる」
ヒースは、エアリスと少年を見据えると軽く頭を下げ、「弟をよろしく頼む」と言い残し部屋から急いで出ていった。
もっとも、このあと部下に捕まったヒースがこっぴどく怒られたのは言うまでもない。
三人がいる部屋では先ほどのヒースのこともあり、少し騒がしくなっていた。
「あなたのお兄さん…あのヒース・トーラーだったのね」
「あぁ、自慢の兄貴だよ。まぁ、兄貴のせいで話が逸れたから戻そう」
渡された手紙をしまうと、筆記試験の話を再開した。
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