第一話 「試験」

13/15
前へ
/449ページ
次へ
「ふっふっふ、聞いて驚け。ずっとあそこので入口から見張ってた。何度か騎士団の連中に連れ戻されそうになったがな」 指差す方向には、無惨な姿になった騎士団の者達が山積みにされていた。 ヒースは空いている席から椅子を引っ張り出しそれに腰掛けると、ローブの内ポケットから一通の手紙を取り出しグレンに渡した。 「父さんからだ、後でいいから読んでおけ」 「ヒース隊長!!ヒース隊長どこにいらっしゃるのですかー!!」 ヒースの部下らしき者が、建物全体に響いているのではないかと思うぐらいの声でヒースを呼んでいる。 「むっ、うるさい部下がまだ追ってくる」 ヒースは、エアリスと少年を見据えると軽く頭を下げ、「弟をよろしく頼む」と言い残し部屋から急いで出ていった。 もっとも、このあと部下に捕まったヒースがこっぴどく怒られたのは言うまでもない。 三人がいる部屋では先ほどのヒースのこともあり、少し騒がしくなっていた。 「あなたのお兄さん…あのヒース・トーラーだったのね」 「あぁ、自慢の兄貴だよ。まぁ、兄貴のせいで話が逸れたから戻そう」 渡された手紙をしまうと、筆記試験の話を再開した。
/449ページ

最初のコメントを投稿しよう!

279人が本棚に入れています
本棚に追加