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あの筆記試験は単に一人一人の知識を調べるためのもではなく、魔法国家の民として魔法の在り方をどう考えているか、ということの調査だという話だった。
国の中で魔法が犯罪に使用される事件が何件もあるため、一部の街では魔法使い立入禁止という対応をとっていることもある。そして悪いことに、過去の何件かは騎士団の人間が起こしたものが含まれている。そのため筆記試験で、魔法使いとしての正しい判断、魔法の在り方といった細かい調査がされている。
「まぁ、そういうことだ」
「ちょっと待って。あの試験問題のどこにそんな問題があったの?」
エアリスのいうとおり、あの試験問題にはそんな問題はどこにも書かれていなかった。大部分の問題はスキルの説明それが敵にどんな影響を与えるか、様々な状況での仲間とどんな連携をするか答えるものだった。
「それは…兄貴に教えてもらえなかったよ。極秘なんだとさ」
「そっか…。ならしょうがないよね」
そして少年の自己紹介に入ろうとすると、試験官が一人入ってきた。
「番号186番、シリウス・アンシエルさん。実技試験に入りますので、ついてきてください」
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