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「内容はごく単純なものです。フィールドに放たれるMOBすべてを撃破すれば試験終了です。MOBは何が出て来るかは一切教えられません…ですが、そんなに危険なモンスターは放たれませんので安心してください」
試験官から大まかな説明を受けている時のシリウスの表情は、明らかに緊張しているものだった。彼にとって今回の試験が初めてであり、最初で最後の試験だからだった。もし今回の試験に落ちれば、エルソード騎士団の試験は受けられないというプレッシャーが彼に重くのしかかる。
一回の試験で通らなければ、お前には才能がないということだ。落ちたら俺が決めた職場に行ってもらうからな。
試験前日に言われた言葉を思い出すたびに、焦りや不安が彼の心を包み込んでいく。
わかってるよ…お父さん。でも、僕は必ず受かるよ。何があろうと受かってみせるよ。
必ず受かるという思いが、焦りや不安という気持ちを振り払っていた。
そして、実技試験の会場へ続く長い廊下を歩いていくと、突き当たりに鉄の扉が見えた。そこを開けば試験会場なのだろう。扉の前には騎士団のマークがついたローブを羽織った二人の男が、扉を守るように立っている。
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