第二話 「決意」

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扉の前に着くと、ここまで一緒に来てくれた女性試験官は二人の男にシリウスの受験番号、フルネームを伝え、シリウスに一礼すると来た道を戻っていった。 「シリウス・アンシエル、前へでよ」 その男達はシリウスに扉の前に来るように言うと扉を遮るように立つのを止め、扉に手をかけた。 「準備はいいか?」 言うまでもないと思わせるような表情で頷くシリウスからは、先程までの緊張が嘘のように消え、替わりに自信があるという気持ちが感じ取られる。 「それでは、これより試験を開始する。油断するな」 扉が男達によって開かれると、シリウスは勢いよくフィールドに入っていった。 シリウスが部屋から出ていってから、十分間隔で次々と受験者の名前が呼ばれていき、部屋にはエアリスを含め残り五人ほどに減っていた。既にグレンも試験官に呼び出され部屋を出ていっていた。 エアリスはというと、必死に手の平に人という字を書いては飲んでの繰り返しをしていた。 「あたし、絶対大丈夫よ、大丈夫よ、大丈(ry」 誰とも話してないのが不安なのか、グレンが出ていってからずっとこの調子のため、周りの受験者は彼女に声をかけようにもかけづらい雰囲気のため喋りかけられないでいた。
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