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「指示通りにやればそれでいい、固くなるな」
「は、はい!!」
男はエアリスの頭を軽く触れる程度に叩き、キマイラに向かって走りだした。エアリスは急いで詠唱を唱え始めた。
キマイラは自分に向かってくるものを敵と認識したのか、男に向かって走りだした。
男はすれ違い様にキマイラにファイアランスを体に当てると、キマイラの体の一部が辺りに吹き飛んだ。
「姿形は化け物でも、元は普通の生き物だったのにな。…すぐ楽にしてやるからな」
グレンはその男が詠唱を唱えずにファイアランスを使ったことに驚いていた。
何故かというと、魔法を使う際詠唱を唱え自分の周りにあらかじめ魔力を溜めておく必要がある。その詠唱のおかけで強力な魔法の使用が可能になるのだが、この男は詠唱破棄をしたうえ、中級魔法であるファイアランスを連続で繰り出しているのにもかかわらず、いっこうに魔力、体力の衰えがみられない。
「どうなってんだ、あの男。…待てよ…あの男どっかで見たような…」
グレンは何か引っ掛かっているのか、頭を抱えながら必死に何かを思い出そうとしている。シリウスがそんなグレンを心配して顔を覗き込もうとした瞬間、
「お、思い出したー!!」
と、立ち上がりながら大声で叫んだ。
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