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グレンが急に立ち上がったことに驚いたシリウスは、尻餅をついてしまった。
「ど、どうしたのさ、グレン?」
グレンは起き上がろうとしているシリウスに手を貸しながら、叫んだ理由を説明し始めた。
「あの男、第五騎士団隊長、ジェイ・クラウスだ。なんであの男がここにいるんだ?」
「えっ、それは隊長だからじゃないの?」
シリウスがいうのは当たり前のことだが、グレンはその言葉に首を横に振った。
「兄貴が言ってたんだが、あの男…第五騎士団は今日までの三ヶ月の間行方不明だったらしい」
騎士団は階級ごとに隊員の人数制限が決まってくる。下の階級になるほど隊員の数が多く、逆に上の階級になればなるほど隊員の数は少なくなってくる。第五騎士団までは中級騎士に属し、何万という隊員を抱える。隊長に選ばれるのは騎士団に入隊した時から今までの戦果、尚且つ臨機応変に戦略を組め、隊員達からの信頼を十分得ている人間でなければ選ばれないのだ。
「ということは、あのジェイっていう人はすごい人なんだね」
「あぁ、ある意味すごいよ」
話しているときのグレンの口調は、明らかに呆れている口調だった。
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