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男は自分の頭上に何か違和感を感じたのか、恐る恐る上空を見た。すると…
「にぎゃああああ!!」
一瞬辺りがパッと光ったと思うと、男の体に稲妻が落ちてきた。男は力無くその場に俯せに倒れ込むと、女性は大きな溜息をつき、倒れている男に説明した。
「あなた、ここでこんな話をしていればナイアス様だって気付くわよ。ナイアス様、見ていらっしゃるんですね?」
すると、どこからともなく一人の老人の声が聞こえてきた。
「うむ、見ておるぞ。最初から全部のぉ」
「それじゃ、あの少年も見ましたか?」
女性は倒れている男の上に座り込むと、ローブの内側から受験者名簿と書かれた分厚い本を取り出し、何箇所もの附箋の中からある附箋のページを開いた。その開くときの彼女の目は、子供が新しいおもちゃを貰ったかのように生き生きしていた。
「間違いなく彼も私たちと同じ領域に到達している人材のはずです、ナイアス様」
「ふむ。しかしのぉ、彼自体まだそれに気付いてないようじゃな。…何かに力を抑えられてるようじゃ」
彼女の表情が一変して、何かを恐れる、何かに怯えている表情に変わった。すると、
「きゃっ!」
震える彼女の下で倒れていた男が目を覚まし、急にその場に立ち上がった。
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