第一話 「試験」

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場所は変わり、ここはソーサラー控室。受付が終わったことで、部屋には大勢の受験者が集まっていた。このエルソード王国は魔法国家ということもあり、ソーサラーがクラスの中で最も受験率が高い。 ソーサラーのテストは、ウォリアーやスカウトのテストと違い実技試験と共に筆記試験が行われる。それがあり、ソーサラーの合格率は半分にも満たない。 「全員揃ったようなので、これからソーサラー筆記試験を始めます。不正行為をした人はその時点で落第とするので気をつけてください。それでは始めてください」 受験者は一斉に配られた問題用紙を開くと、羽ペンを持ち問題を解き始めた。 部屋は解答用紙に答えを書き込む音、ページをめくる音が鳴り止む事なく続いている。そんな中、試験開始10分も経たないうちに机に顔をうずくめて寝息をたてている男が一人いる。それに気付いた試験官は、その男の机のはじにある解答用紙を見ると、顎に手で触れながら感心したように頷きながらその場を離れた。 そしてその右横では、あの少年が必死にペンを走らせていた。少年の右手は一度も止まる事なく最終問題を解き終えた。 ふぅっと一息つきながら羽ペンを机の上に置くと、ちょうど試験官による終了の合図が鳴った。
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