突然の嵐

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突然の嵐

何日か過ぎ、今日信哉の家に招待されている。 昨夜から寝付け無かった、目覚めてからもしばらく ベットの中で あれこれ考えていた。 「実和子!」お母さんが呼ぶ。 重たい気分をひきずりながら用意をする。 キッチンに行くとお母さんが「失礼のないように、気をつけるのよ!」と言った。 「分かってるって」 味噌汁を飲みながら 時計を見た。 「ヤバッ 待ち合わせに遅れる!」 信哉は珍しく改札口で待っていた。 「ごめんね。何か緊張して…」 実和子はすかさず、「ねぇ! この服で大丈夫よね?」と 聞いた。 「関係無いだろ。 まあ派手じゃないなら OKさ。…そうだ 母さんの話にあわせとけよ。一応説得してあるけど、ちょっと不機嫌だから…父さんは歓迎してたケドね。」 「エーッ 大丈夫かなぁ… ますます緊張する…」 何だか違う町に来た様な感じだった。このまま引き返したい様な気分を打ち消して 信哉の家に向かう。 玄関のベルを鳴らして信哉が ドアを開ける、すると信哉の母が 来て 「あら、早かったわね。 先に来たの?」と気さくに言ったので、実和子は安心して 「こんにちは、今日はおじゃまします。」と挨拶すると、チラッと目をやって「あぁ…いらっしゃい 」とだけ言うと信哉に、 「お昼は 食べてからじゃなかったの? どうするの?」と聞いた。 「そんなに 長い話もないだろ、 終わったら食べに行くよ。母さんたちはどうするの?」 「お父さんは あまり外では…でも 用意が遅れてしまうわ。」 「じゃ 一緒に後で行く?」 「お父さんに 聞いてみて。」 と言いながら、リビングに通された。 信哉のお父さんがテレビを見ながら 座っている。 「こんにちは。実和子といいます。今日はおじゃまします。」 と言って お母さんに 「あっ どうぞこれを… 母からです。」と包みを渡した。 「はじめまして。話は聞いているから、遠慮せずに座りなさい。」と優しく言われて ホッとした。 相変わらずお母さんは ニコリともせず、包みを受け取った時も、「どうもわざわざ…」と言って台所へ行った。 コーヒーと実和子の持ってきたお菓子を用意し、信哉の母はテーブルに置いた。 「お前も座って これからの話を しよう。」 とお父さんが言うと、信哉の母は無言で座った。
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