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「アイスを掛けて勝負しようぜ四葉」
「はぁ?勝負って何で勝負すんの?」
蜜の部屋はいつの間にか男の部屋になっていた。
それに気付いたのは高校に入ってすぐの事…。
「そうだなぁ…」
いつからか蜜を男として見るようになってた。
だけどこの温かい《幼馴染み》というポジションから私は脱け出せない…。
賭けに出るよりも、この優しい場所に居た方がマシだから。
「あー金魚鉢パフェの早食いとかは?」
向けられた笑顔にドキッとした。
「構わないけど蜜、それじゃもうアイス要らなくない?」
「あッそっか…。良い案だと思ったんだけどなぁ…」
目を細めてくしゃりと笑った。
私の大好きな蜜の笑顔。
黒髪にフレームの無い眼鏡、切れ長の目、いつの間にか筋肉が付いていた身体。
大人っぽいのに笑顔だけは無邪気で…。
「行くよ蜜」
財布でだらけきった蜜の頭を叩いた。
「行くって何処に?」
「金魚鉢パフェ食べに。先に食べた方の勝ち。負けたら奢り。オッケー?」
「もち」
夏休みになって一週間。
当たり前のように私は蜜の隣に居る。
学校でも家でも。
互いの母親同士が幼馴染みで、私と蜜も幼馴染みだった。
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