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「頭がキーンってする…。ってか蜜食べるの早ッ」
「キーンは俺様の敵では無いのだよワトソン君」
「敵は生クリームかねホームズ」
金魚鉢に収まり切らないアイスに生クリーム、帽子のようにアイスに刺さったコーン、色鮮やかな果物。
「生クリームだけは無理、吐いちまう…」
そんな蜜を無視して私は食べ進める。
負けるつもりは無い。
生クリームと格闘する蜜を見て笑いながら、私は金魚鉢の底にある金魚の絵を見付めた。
「………」
「どうした四葉?」
私の視線に気付き、蜜が金魚鉢の中を除き込む。
「…マジかよ」
驚くのも無理は無い。
何しろ《出目金》の金魚鉢パフェには一鉢だけ底に金魚が描かれた金魚鉢がある。
夏の期間限定で一夏に数回しか出ない幻の鉢。
その鉢を見事獲得した客一行は何を頼んでもタダ。
何を食べてもタダ…。
「金魚だねワトソン」
「金魚だねホームズ」
「……」
「…………」
「マスターッッッ!!!!」
「金魚出た――――ッ!!!!」
何気に常連の私と蜜。
マスターは私と蜜を見てニカッと笑った。
「おめっと。あんま高いもん食うなよ」
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