キレイ色涙

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「暑っ………」 ぐったりとして、 目の前に広がるグラウンドを睨み付ける。 「ほい、帽子」 「アリガト」 千佳が私に帽子を被せる。 「もっと自分でお日様対策しなよね」 苦笑いしながらでも、千佳は責めてるわけではない。 「うん、気をつける」 次回は…なんてうっかり続けそうになった口をつぐむ。だって、次回なんてあるかわからないもの。 私は視線を斜め下にスライドさせた。 彼は緊張と、興奮の入り交じったような複雑な顔でまっすぐ前だけを見ていた。 私の、 愛しい人。 高校三年の夏、 甲子園予選、 私たちの学校は運悪く、 優勝候補と第一試合でぶつかった。 負けるのは誰が見ても明らかだけど、何故か期待してしまう………万が一の可能性に。 .
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