Honey honey Sweet

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手袋もつけていないようで、片方はポケットから出すことも嫌がっている。 肩の鞄を掛け直しマフラーを外した。 まさか貸すだなんて思っていなかったのだろう。驚いている銀八にマフラーを巻く。 「冷過ぎるとえいことない。ぁ、でも馬鹿は風邪引かにかーらんとか……」 少し馬鹿にするように言えば気分を害したようで、眉間に皺を寄せた。 でも直ぐに人を馬鹿にしたような憎らしい顔をした。 「銀さんは馬鹿じゃないから引きますぅ、お前は引かねぇんだろ?羨ましいよ」 「アッハッハッ、げにまっことひどい奴じゃあ」 「うっせぇ」 嫌らしい表情を消し、ふと目を伏せた銀八は「サンキュ」と小さな声で言った。照れ隠しなのかマフラーを鼻の上まで引っ張り上げ、歩調を上げた。 そんな銀八につい笑みが溢れた。 そうこう歩いているうちに学校が見えてきた。 校門に入り、そういえは今日はスクーターを持ってないな…と銀八の相棒が居ないことに今更ながら気付いた。 「のう、ぎんぱちい」 「ぁン?」 「今日はスクーターはお休みなが?」 何気なく尋ねれば苦虫を噛み潰した様な顔をした。 何かあったのか、と尋ねれば、ぐぅっと黙り、マフラーで口元を隠した。 校舎に入り靴を脱いだところでようやく口を開いた。 「事故った」 「………………は?」 思っても見なかった一言に靴を掴んだ手が緩んだ。落としはしなかったけども。 「雪降ってる日にスクーター乗ってたわけよ」 靴箱の中を用心深くチェックした後、少し残念そうな表情をして靴を入れた。何だか報われない…… その後、こんな所で話す気は無いのだろう。トントンと急かすように来客用スリッパをならしている。 はいはい、と下駄箱を開けると紅い箱。 はて?昨日はなかったけども…今朝入れられたのだろうか。 そうしてる間にも銀時は事故のことを言っている。 どうやらスリップしてスクーターが逝ってしまったらしい。 「おんしにはどこにも怪我はなかったなが?」 箱は後々空けることにしよう、と鞄の中に、それの代わりに靴を入れた。 それから銀時同様、来客用スリッパに足を突っ込んだ。銀時はそれを確認すると廊下を歩き出した。 「怪我なんてするわきゃねぇだろ、銀さんだぜ?ちょいちょいっとうまい具合いにな。」 「アッハッハッ、それはえかった。」
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