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Prologue
俺は間接照明ぐらいのぼんやりした明るさの部屋で目が覚めた。
この位の明るさならまだ朝ではないんだろうと思い、再び眠ろうと目を閉じたが、日本の夏独特の湿度の高い暑さによって眠れず、ベッドの上で意味なくごろんと寝返りを打った。
寝返りを打った先にはサラサラとした何かがあった。
何だろう?鼻腔をくすぐる良い香りがする。
薄目を開けて見てみるとそれは金色の糸の束に見えた。
俺の部屋にこんなのあったかな?と再び眠りに着こうとしている意識の片隅でボ~っと考えたけれど、睡魔に負けてまともに考えず眠ってしまった。
次は、完全に目が覚めた。
また寝返りを打った時、俺の手が金色の糸の束らしき物に当たった。
その時「あんっ」と言う甘い声が聞こえたからだ。
その声を聞き、ガバッとベッドから飛び起きた。
そこは俺の部屋ではなかった。
分厚いカーテンによって閉め切られた窓、最新型のパソコンが置かれた机、棚に置かれた用途の分からない実験器具のようなガラス器具。
俺は、何一つそれらに見覚えがない。
ここは何処なんだ?とパニックを起こす寸前、ベッドの上にあった金色の糸の束がムクッと動いた。
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