否定

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ぶら下げているおさげは毛の先が乱れ、跳ね上がっている。 顔はやや頬が痩せこけ、目が虚ろになり垂れていた。 乱れた制服と鞄には砂のようなものがあちこちに付き、濃いベージュに汚している。 写真だと足取りが悪いのかどうかはわからなかったが、やや身体が前かがみになっているのでそうなのだろう。 これでは確かに傍目でもおかしいと思うのは仕方がない。 「だが……これじゃあ、ただ疲れてるだけじゃないのか?」 「まぁね。その可能性もあったわ。だけど、その少女が陸稲中学の生徒で他の自殺した生徒も自殺する数日前、彼女みたいな疲れを見せていた……としたら、どうする?」 どこか真奈は勝ち誇ったような笑みを浮かべた。 「……本当か?」 「もちろんよ。きちんと調べたもの」 淡く消えてしまいそうな微笑みを真奈は貴に向けた。 「そうか……なら、さっさと行かないといけないな。その人達はまだ大丈夫なのか?」 真奈は「うん」と頷いた。 「一週間ほどノイローゼが続いてからって、聞いたからまだ大丈夫だとは思う」 「だが、何故そういうことが起きるんだ、取り憑きか?」 真奈は目をつぶって首を横へ振った。わからないという意志表示だ。 「その娘と接触を持ってみないと、何とも言えない」 「第一、それは本当にアレと関係しているのか?」 貴は少し冷えた声で言った。真奈が怯えた風に肩をピクンと動かしたが気にしていられない。 貴にとってこのことはとても大事なことだった。アレとは夏の時、島で逃げられた女…貴の母親のことだ。貴はそいつを捜し出して、捕まえなければならない。なんとしてでも。 「…ごめんなさい。正直、本当に関連しているのかはわからないの。でも今はどんなものでも片っ端から調べておかないといけないと私は思うの」 すっかり肩を落とす真奈を一瞥し、貴は小さくため息をつく。 あの女が見付からないのは仕方のないことだ。今まで…高校に入ってからずっと捜していたが全く見付からなかった。だから、それほど簡単に見付かるものではないとわかっている。 だが、それでも貴は焦る他なかった。奴が肉体を創るために魂を集めているのなら、それは阻止しなくてはならない。 魂とは人だ。ひとつの魂につき一人だということだ。あの女はそれら全てを犠牲にして、創ってしまうのだ。それが赦されるはずがない。 端的に言えば、大量虐殺だ。  
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