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早朝、目覚まし時計の音が部屋に鳴り響く。耳を突くようなその音はベットに眠る少女を否が応でも掻き起こした。
部屋は薄暗く、カーテンの隙間から若干漏れる日の光が部屋を照らしているだけだ。それでも部屋がどのような状態かわかる。
部屋の入口の右手の壁の隅に少女が眠っているベットが。
その上にはぬいぐるみや鳴り響く目覚まし時計にCDコンポなどが置かれている棚。
ベットの足元の方には青いレースカーテンが掛けられた窓。
その右の壁の隅には鏡台と勉強机。
窓の左の壁は全てがクローゼットとなり、制服などが掛けられている。
部屋の中央には小さな丸いちゃぶ台もあり、それは少女が昔から愛用しているものだ。
少女は身体を起こし、枕元の棚で鳴り続ける目覚まし時計に拳でげんこつする。目覚まし時計はミシっと音を立てて音は無くなり、部屋に再び静けさが戻る。目覚まし時計のディスプレイには七時五分と示されていた。
この後、寝ると確実に遅刻するのは火を見るよりも明らかなので少女はそっとベットから出て、先ずは窓のカーテンを開く。その瞬間、日の光が部屋中に差し込み、部屋を明るくした。その後、鏡台に向かい、椅子に座る。
その鏡には少女の姿が映っている。
肩を少し越すくらいのセミロングの淡いマロンペーストの髪色。眠たそうな顔だがパッチリとした大きな瞳。ふっくらとした血色の良い頬。丸み帯びた顎先…
鏡にはそのような顔を持ったパジャマ姿の千代が映っていた。
千代は跳ね上がった髪を適当に櫛で解かして、寝かし、後ろで髪を束ね、一本に黒のゴムで縛った。
千代は夏の終わりの方まではセミロングよりは短くショートよりは長めの髪型だったものの九月を境に伸ばし始め、最近では肩を超して肩甲骨程までに来ている。
髪を解かした後、千代は早々に制服へと着替える。その時胸元で光る石があった。貴から貰った霊殺石の結晶だ。紐を通して首に架けられるようになっている。千代はこれを風呂に入る時以外はずっと付けている。それほど貴からものを始めて貰ったことは嬉しかった。そしてそんなことを思いながら見ていると自然とにやけてしまう。
だがそんなことをしている場合ではないとさっさと制服に着替え、石は胸元に戻した。
上はセーラーで胸元に大きなリボンが付き、下は藍色のスカートで裾は膝を少し見せる程度だ。そして黒革の学生鞄を手に持ち、部屋を出た。
――今日は清々しい朝だ。
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