第1章 姫と下僕

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…… 怖い。 「…すみませんでした」いつもこのパターンだ。 しかも この姫ときたら 暇を 見つけては城を抜け出し、 モンスターハントをしている。 実はこの姫は、回復魔法だけではなく 黒魔法まで使える。しかも天性のというべきか、格闘センスを持ち 黒魔法と格闘技を組み合わせ 山のようにモンスターを仕留めている。 その姿から、 モンスターハンターの中では 白の闇姫の 通り名で呼ばれている。 「さて、マル男。行くわよ」 「行く?城外へか? 今日は ジジイ(神官長)との会食があるとか、執事が行ってなかったか?」 「いいのよ、どうせ新しい神官が入りました。とかだろうし、そのうち 顔を合わせる事もあるだろうから、かまいはしないわ」 そう話ながら隣室に消え、しばらくして戻ってくる。 神官の衣装から 城外へ降りる時の白い服になっていた。 「あいつが来ないうちに 出るわよ」 あー あの セバスだかチャンだかの名前の若い執事か… 裳抜けの空の部屋を見て 「ひめさまぁ~ 一体どこにお隠れに~」と城中探しまわるのだろう。 …いい加減、城から抜け出してるのを気付け と思うが、教えてやる義理もないので、ほうっておく「マルファス!転移を」 主からの命に 俺は魔方陣を作る。その中心に立ち一気に城外へと飛ぶ。 たどり着いた先は、いつもの路地裏。姫の気に入りの店の裏手の道だった。 「マル男、ピアスへ入って」 姫の耳に輝く、姫の瞳と同じ色をした宝石の中に俺は吸い込まれていった。 俺達のように使い魔となり 契約を交わした魔の者達は、宝石などの石の中に入る事ができるのだ。そして契約者を常に守るのである。 「さて、今日のおすすめランチは何かしら」 鼻歌混じりに、店へと歩き出す。
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