第1章 姫と下僕

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「それで、パフェにかかってたチョコチップは、チーナさんのお店の味がしたのね。美味しかった。」 「チョコは、家の店の看板ですもの。最も、マスターの腕も良いですもの。」 それから、店の外までチーナさんは送ってくれ、姿が見えなくなるまで手を降ってくれていた。 人のいない、路地裏までくると一気に城の自室まで戻る。 奥の部屋で、神官の服に着替え一息ついた時、ドアがノックされた。 「失礼します、シルフィー姫様は部屋においででしょうか?。」 「セバスチャンね、どうぞ。」 「失礼します。」 そう言いながら部屋に入ってきた若い男、『セバスチャン・ビーンズ』姫付きの執事だ。 「姫様、お部屋においででしたか?昼に神官長様との会食会の為、時間を知らせに参った時には、お姿が見えなかったものですから。」 「そうでしたね、セバスチャン申し訳ない事をしました。実は、先程まで最上階の祈りの間にこもっていました。」 「祈りの間に?何か不吉な事でも?。」 「いえ、一時不安がありましたか、今はそれも無くなりました。きっと時が良い方へと動いているのでしょう。」 「左様でございましたか、良い方へ時が行くならそれほど素晴らしい事はありません。さすが、我が国の姫様にございます。」 「あまり、誉めてはいけませんよ。私は、時が良い方へ行くように祈っただけですから、そうそう、神官長様は何かおっしゃっていましたか?」 「はい、神官長様へは、姫様が体調が優れないようだとのみ話ました。 神官長様は、 『そうか』としか申されませんでしたが。」 「わかりました。セバスチャン、いらぬ手間をかけさせてしまいましたね。神官長様へは、私がお話に参ります。」 「いえ、姫様が無事ならばそれで良いのです。」 そう言うと、下がって行った。 執事が消えた後、菓子屋で買ったチョコを取り出し、袋ごと俺によこした。 「ありがとよ!」早速俺は食べ始める。 魔物で、人間の食べ物など必要の無い俺だか、チョコだけは、格別だった。 「さて、いくわ。」 「行く?あぁじじいの所へか? じゃあ俺は行かない。じじいの部屋に入ると頭がガンガンする。」
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