地味って最高

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先生の言葉とともに生徒達はズラズラと廊下に並び始めた。私は膝に巻かれたハンカチを外して鞄にしまうと、慌てて列へと並んだ。 「ねぇ、私、後ろの席にいる加藤香緒」 唐突すぎたかしらと思いながらも整列するために並んだ前の子の肩をトントンと叩いて話かけてみた。 するとその子は一瞬驚いた顔をしたものの、小さく微笑んで 「よろしくね。私、太田のり子」 とても控え目な声で挨拶。 太田さんはノンフレームの細身の眼鏡をかけていて、日本人らしい薄い顔はしてるものの、笑いかけると頬っぺたに笑窪ができて可愛らしい子だった。 生徒が整列し終えると体育館へと向かう。 体育館の中は新入生が既に整列しはじめていて、保護者も大量… うちの親は来ていないけれど、体育館の中は化粧臭い。 並べられたパイプ椅子に座ると、太田さんがオズオズと制服の袖を引っ張って小声で話しかけてきた。 「えっと…加藤さん?」 「香緒でいいよ?」 「え…じゃぁ香緒ちゃんさ、今日の朝……。あの…吉沢先輩と…仲良いの?」 きまづそうにうつ向きながら呟く太田さんに少し慌てる。 「ち、違うのよ?吉沢先輩とは何の関係もないの!怪我したのを助けて貰って…」 だいぶ事実とずれたはしょった説明になったけどいいのよ!せっかく仲良くなろうとしてるのにアレと友達なんて思われたら、誰も友達になってくれない…特に私のような地味系は、あんなタイプとは極力関わらないように生きていくタイプだし… 「そうなの?…そっか…」 ちょっと、どうしてガッカリするの…? 「ねぇ、私が吉沢先輩と何か関係があったり無かったりって何かあるの?」 「ない!ないの…大丈夫、変な事聞いちゃってごめんね…?」 太田さんは苦笑いを洩らすと、式面倒だね…と話を変えてきた。 まぁ…それ以上あの銀髪男の事で友達作る邪魔もされたくないし、私は太田さんの話に頷いて小声でこっそり話を続けた。 式も終わり、クラスに戻ると渡辺先生の話が始まった。学校の伝統についてや授業体制についてとか…うんざりする内容が続く。 ―あぁ~早く帰って本屋行きたい…今日はミラクルラビリンスの発売日だし~… ちなみに、ミラクルラビリンスっていうのは私の愛読書。普通のファンタジー恋愛漫画だけど主人公を守る勇者と魔法使い(※両者男)のあの微妙なイチャツキ具合が萌えるのよね…
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