地味って最高

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チラリと教室内を見渡す。春と山田君が目に入った。二人共、席隣なんだなぁ…… 春も暇なのか机に突っ伏して何かシャーペンを走らせていた。しばらく見ていると春はさっきまで何か書いていたんだろう小さな白いメモをクシャクシャと丸めて山田君の机に置いた。 それを見た山田君は少し呆れた顔をしたものの、すぐに仕方ないなっていう顔をして頷いた。春も春でそれをみて嬉しそうにニコッて……………… 『今日の帰りデートしよう!それから帰りに買い物して、一瞬に夕飯食べようね!今日泊まっていい??』 もしこんな内容だったらどうしよう…こんな内容で、積極的な春に驚きながらも頷いたとしたら……… ―いかん!!いい!!! 春がもし普通の美人ならただのバカップルめと思うけど脱いだら男ってのがまた……… 「か、香緒ちゃん…?」 「!」 「プリント………」 プリントを回してくれた太田さんの顔がすごく引きつってる… 私…顔に出してた………!? 「ありがとう」 何事もなかったかのように笑顔を作って見せる。 地味系同士だからといって、この趣味に共感できるかはもっと探ってからじゃないと……… 「じゃぁ今日はここまでです。明日は教科書の配布がありますから、大きめの鞄を用意してくださいね」 アホな想像してる間に先生の話は終わったらしい… 先生はニコニコと笑いながら教室を出ていく。 扉が閉じた瞬間にクラス中がざわめいて、新しくできた友達とどこ行くかの雑談が始まった。 「香緒ちゃん、今日はもう帰るの?」 太田さんが机に鞄を置いて問いかけてきた。 「うん、寄りたい所があって…太田さんは?」 「のり子でいいよ…私はどうしようかなって…香緒ちゃんの用事が急ぎじゃなかったら一緒にお昼でもどうかな…?」 「じゃぁのりちゃんって呼ぶね。用事っていっても本屋へ行きたいだけだから…よかったら一緒にご飯食べようよ。でも私、この辺にどんなお店があるのか知らないけど…」 「大丈夫、安くて美味しいお店があるの」 のりちゃんは小さく微笑んで帰る準備を始めた。 私も鞄を準備していると明るい春の声が聞こえた。 「か~お!一緒に帰ろうよ~」 長い髪をふわふわと揺らして歩いてくると机の横にしゃがみこんだ春が机に顎を乗せてこちらを見てくる。 「へ??」
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