地味って最高

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春だ。 桜がすごく綺麗に咲き乱れ、これから始まるはずの新しい生活に胸を踊らせてもいいのに今の気分はドンヨリと私の心に影をさしていた。 高校の入学式。新しい制服に身をつつんだ私は周りにいる゛今時の子゛とは色々とかけ離れている。前髪はドンヨリと長く、髪の毛の量はムカつくほどに多いくせに切るのが面倒という理由で後ろでまとめているだけ。もちろん化粧なんて面倒くさいし仕方も分からない。スカートの丈はギリギリまで長くしてもらった。長くしたのに膝上って意味が分からない… そんな地味な私はもちろん周りにいる゛今時゛の茶髪でクルクルでキャピキャピしててパンツが見えそうな格好しててまつ毛とかバッシバシに長い彼女達とはかけ離れている。 でもきっとこれだけなら地味な子…で片付けられて、学校が始まれば私と同類の友達と自然と引き付け合い地味な生活が送れただろう…。 問題はそんな事じゃない。別に地味だからってこんな風に朝の一番込み合う学校までの道が私の前だけパッカリ空間が空くほど避けられたりしない。 問題は私の横で眉間に皺を寄せて、目なんか逆三角で、不機嫌極まりないオーラを放ってるこの男だ。着崩した制服に脱色されて可哀想なくらい痛んだシルバーの髪の毛を持つこの男のせいだ!! ―さかのぼる事1時間前― 私の家は学校からちょっと遠い。だけど地元の学校は不良の溜まり場か進学校しかなかった。もちろん、不良の溜まり場に身を投じるほど私の神経は太くないし…だからといって私はそこまで頭が良くない。中の中で進学校へ行きたくも無かった。それに私はもっと別の事がしたかった…それは自分の趣味をブチ通せる学校。 私は漫画が大好きで…しかもボーイズラブっていうジャンルが…。町中で可愛い男の子と格好良い男の子が仲良く歩いているのを見るだけで萌えるほどの、いわゆる腐女子。学校に漫画部とか美術部とかがあって、趣味がブチ通せて、通う人も普通で頭が良くなくても入れる学校…を探した挙句一時間も離れた学校に行かざるをえなくなった。
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