春一番、吹きまくる

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三人にはまた明日説明するからと言って教室を飛び出してきた。 校門に向かえば吉沢が校門に凭れかかるようにして待っている。 ―遅いっていって張り倒されたらどうしよう… 吉沢の人相は本当に悪い。常に怒ってるように見えるから自然とそんな事も思ってしまう。 ―さっきみたいに怖い顔しなければいいのに… 「ごめんなさい…遅くなって…」 「別に走らなくても良かったのに」 フッと吉沢の目元が弛んだ気がして思わず見いってしまった。 この吉沢という男。もしかしたら美形男子なんじゃないかしら…そりゃぁ…現にこうやって近づいてきた女の下駄箱に砂入れるようなファンがいるんだから今更かもしれないけど、恐怖のが勝って顔なんかまともに見る機会もなかったからなぁ… 「何だよ…」 そんなじっと見ていたのか吉沢は目を竦めて睨んで来た。 「え…ごめんなさっ…」 思わず引け腰になると今度はチッと舌打ちをされた。 何よ!からかってるにしろ嘘でも告白してきたんだからもうちょっと上手に接しなさいよ!これじゃ私の身がもたないじゃないの!! とは思ってもやっぱり口には出せないで固まってるんだけどね… 「別に怒ってねぇし…」 吉沢はボソリと呟くと、行くぞ…と歩き始めた。私も慌てて追いかける。 ………………………… む…無言… チャラチャラと話かけられても困るけど…この場合無言の方がもっと気まづい… 「あの~…吉沢…先輩?」 「あぁ?」 だから凄むなっての… 「色々と…その…自己紹介とかしませんで…しょうか?…吉沢先輩の事何も知らないし…」 意を決してそう告げれば吉沢は一瞬驚いた表情を浮かべた。 「あ…いえ…面倒だったらいいんですけど…」 「いや、面倒じゃねぇよ…」 吉沢はそう言うと軽く頭をかきながらボソリと呟いた。 「じゃあ…私から…遅くなりましたが、名前は加藤香緒です。」 「香緒か…」 吉沢は私の名前を確かめるように呟くと、字は?と聞いてきた。 「香辛料のコウに一緒のショです」 聞かれたから答えたのに、吉沢はキョトンとしてから小さく吹き出した。 笑った!?失礼ね!名前と顔が合わないとでも言いたいわけ!? 思わずムッとした表情を浮かべると、吉沢はワリィと呟いて「変な奴」と表情を弛めた。
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