春一番、吹きまくる

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「私、変ですか…」 顔か!髪型か!! 「変てか…普通もっと別の言い方あんだろ…綺麗な字なのに香辛料て…」 そ…そんなところで笑ってたの? 「どうせ顔は可愛くないですから…」 「…そんな事はねぇけどな…」 「え?」 吉沢は顔を背けてしまった。 ……ちょ…ちょっとコイツ何言ってんのよ…騙されるな香緒! そう言い聞かせるのに顔が熱い… しまった…また無言だわ… 「吉沢先輩の、下の名前って…」 「良夫だけど…」 「字は…」 「良いって字に夫」 「あ、良き夫ですね~」 見た目とはえらくかけはなれた名前ね…よしおなんて…名前の通りなってくれればこっちはこんな苦労しないって…ん?てことは、コイツ、ヨシザワ ヨシオって事でしょ?音だけ聞いたらめちゃくちゃいい人そうなのに… なんて考えて吉沢の顔を見たら、吉沢は口元を手で隠して顔が真っ赤だった。 え?何??何か私言った!? 「先輩…顔が赤…」 「!ほっとけ!」 「ひぇっ!」 怒鳴られた上に急に腕を引っ張られて恐怖で身が固まる。 何!!私なんかした!? 路地裏でボコボコにされたらどうしようとか思ったけど、先輩は駅に着いて私の分の切符まで払うとホームでようやく止まった。するとすぐに電車が入って来て「間に合ったな」とぶっきらぼうに告げられた。 あぁ…電車の時間ギリギリだったのか… 吉沢は私を連れて電車に乗り込むと私を椅子に座らせてその横にドカッと腰かけて足組をした。 肩が完璧にぶつかるくらい近くに座らせて、少し照れる… 「あの…切符…ありがとうございます」 「いい…別に」 「あの…先輩。さっきなんで顔が……。私変な事いいましたか?」 恐る恐る見上げてみると、吉沢はチッと舌打ちしてから言いにくそうに 「別に…良き夫になったとこ想像しただけ…」 誰の、とは聞かなかった。吉沢の表情が若干照れくさそうだったから… コイツ…不良かとおもいきや相当ウブ…今時そんなの想像して顔面真っ赤にするやつ居ないわよ。いるとしたら小説の中に出てくる健気な受けキャラぐらいだわ!それかヘタレ攻め… この男…信用していいのか駄目なのか分からなくなってきた。 もし、この全てが演技だったとしたらハリウッドスターもびっくりだわ…
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